Marriage Blue(後編)

36/56
4887人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
「っ、誉さん……そんな事されたら……あぁ、もう!」 「あっ……!」  藪中が私の体を床に押し倒し、顔を覗き込む。 「もう、どうなっても知りませんよ? 最後の理性をぶち壊したのは……誉さん、貴方だ――」 「――っ!」  野獣のような藪中の瞳に恐怖と期待が生まれ、オメガとしての歓喜も生まれた。 「誉さん、話は後です。今夜は確実に貴方を……孕ませます」 「―――っ!?」  藪中がスーツジャケットを脱ぎ去り放り投げた後、ネクタイを解き抜き自身のシャツの第一ボタンを外しながら宣言した。心が一瞬強張り背筋がゾクリとした。  発情期(ヒート)に入った今、藪中の精を受ける事は受胎率が高い。覚悟が必要だった。 「誉さん……あぁ、もう、本気で限界です。気持ちが止まらない」 「あぁぅ――っんぅ……――ん!」  口付けられながら藪中が早急な愛撫を開始した。シャツも白衣も纏ったままではあるが、全身を這い回る掌に肌が粟立った。私は口で答える合図として、藪中の首に腕を絡めた。もう、崩れた理性は戻って来ない。  なんて浅ましい性なのだろうか。否、これでいいのだと、口付けに没頭する。 「っ、は……誉さん、誉さん……」 「ぁう……っ! あぁ、藪中さん、早く、早く……」  シャツ越しに藪中が胸の突起を弄る中、譫言(うわごと)のように、はしたない願いを口にして自らの足を藪中の腰に絡めた。 「あぁ、もうグチャグチャですね。凄いフェロモンだ……こんなの、おかしくなる」  アルファとしての本能を剥き出した藪中が、私の下肢の衣服を全て脱がし背後に放り投げた。そして私の膝を掴み立て足を割り開いた。露わになった尻奥の窄みは、ぐっしょりと濡れ、その入口を厭らしく開閉していた。  其処は四日前、体を結んだ時とは比にもならない程、粗相したかのように淫液がどんどん零れ出ていた。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!