Marriage Blue(後編)

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「誉さん、欲しい?」  それでもこの(おとこ)は、尋ね聞くのだ。答えなど、決まっているのに――。 「――い…、欲しいですっ! 全部、私の中に、下さ、はぅ……んぅっ―――ぅっ!」  欲しいと願い請う唇を藪中が塞ぎ、泥沼の如く濡れ粘った肉壺に雄竿を一気に突き入れた。  言葉では表現し難い、淫猥な水音が静かで薄暗い室内に反響する。内壁が捲れ上がる勢いの再びの挿入に、藪中の肩越しで私の両足が跳ね反り痙攣した。 「っ――は!、凄い誉さん……持ってかれそうだ」 「あ、ぁ゛ぅ、あっは、ん……や、藪中さんっ、も、駄目……潰れますっ……ぅ」  敏感な最奥の粘膜も、子宮口も、熟れ尽くした肉壁も、全て藪中によって擦り潰されそうになる。本気でおかしくなる寸前だとわかり、私は藪中の肩から手を離し、自らの髪をくしゃりと掴んでは、狂う快楽に悶えた。 「潰れないですよ、大丈夫……もっとここに、俺の種を注いであげます」 「ひぅ――……!」  グッと切っ先が狙いを定める動きをした。自然と其処は藪中の精を浴びようと蠢くのを臍の裏で感じ取る。 「ここに……もう一回出したら、もう確実ですよね……っ、はっ、あぁ、いい締め付けです」  足を肩から下ろされると、内腿に強く指が食い込む力で掴まれた。その事で思い切り開脚する形となり、猛々しく抽挿する動きが延々と引き続いた。そんな藪中からわかるのは、アルファとしてオメガを絶対的に孕ませようとする本能だった。
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