Marriage Blue(前編)

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 其処を最初から責めるなんて、余程藪中は今夜の情事に興奮しているのだと知った。  何故だろうか。明日から会えない寂しさを全身で表現しているのだろうかと、揺れる視界の中で藪中の顔を見る。  すると彼は視線に気付いたのか、獰猛に振りたくる腰打ちを続けたまま、上半身を密着させ歯と歯がぶつかる勢いで唇を荒々しく重ねてきた。 「――っんぅ……!」  激しい律動と強引な口付けに翻弄されながらも、私は必死に彼の逞しい首に腕を回し、リズミカルな動きに合わせて半ば無意識に腰を蠢かせる。  襲うのは素晴らしい程の快楽の波だった。 「誉さんっ……!あぁ、もう……何て動きするんですかっ」 「んっ、あぁぅ! 藪中さんっ! 激し…っ、だ、駄目っ、おかしく、なります……っ!」  これ以上は耐えられないと狂ってしまうと叫んだ。内壁が捲れ上がる勢いの抽挿に衝撃を受けた下腹部が切なげに鳴る。 「そんな事言っても、誉さんの中が俺を締め上げて……! あぁ、誉さん愛してます」  藪中が私の両手に手を重ねると、指先を絡めソファに押し付けてきた。 「あぁ、私も……愛してます……あぁぅ!」  打ち付けられたまま腰をダイナミックに回転され、打ち合う肉が震える。鋭い電流が背筋から脳天へ走った時、なんて恐ろしい悦楽だろうかと恐怖すら覚えた。これが番合ったアルファとオメガの二種間のセックスなのだ。  抜け出したくても抜けだせない、至極の味だ。 (何て、何て、気持ち良いんだろう……)  何もかもどうでもよくなる程の最高の快感に酔いしれていた。  軋むソファの上で獣のように交わりながら、ただ果てる時へと向かう。  私の屹立はお互いの身体に挟まれて揉みくちゃになり、着用したままの二人のワイシャツをしとどに濡らし痙攣し始めていた。そろそろだと体感する。  最奥まで貫く藪中の硬い肉塊も、内部で脈動しているのが伝わっていた。
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