Marriage Blue(後編)

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「そんな事って……だって、仕方が無いじゃないですか。貴方自分の立場、わかってます?」 「まぁ確かに、結婚も急ぎ足で決まったし、真面目な誉さんの考えそうな事ですよね。すみません、悩ませて……全部俺の所為ですよね」 「だから、藪中さんの所為じゃなくて! これは私の心の問題なんです、もう、謝らないで下さい……」  私はゆっくりと上体を起こし彼と向き合い述べた。そんな私の手を優しく握るのは、勿論愛おしい彼だ。 「誉さん、さっき釣り合いたいって言いましたけど……それ、俺の台詞ですからね」 「――え?」  瞳を瞬かせてていると、藪中は頬を軽く膨らませていた。 「……だって、誉さんって俺からしたら大人だし、何ていうかその、俺ばかりがいつも必死で……」 「えぇっ?」 「それに、あの久我って男にも子供だって言われたし、あぁ、俺ってやっぱり誉さんからしたら、まだまだガキなんだなぁって、それなのにあんな事言ったし挙句の果てに行為にも及んだし……なんかもう、関西に赴いている最中、自己嫌悪で押し潰されそうでした」  藪中がシュンと項垂れては、最後にすみませんと小さく言った。 「――藪中さん、貴方……ふふっ」  まるで大きな犬が、飼い主に酷く叱られたような姿に、笑いが吹き出てしまった。 「ちょっと、笑わないでくださいよ! 誉さんとの歳の差を恨んでいるんですから! いつまで経っても追い付けやしない」 「歳の差って、だったら私は藪中さんより早くにおじさんになるのが、嫌ですよ」 「誉さんは何歳になっても、絶対綺麗ですから問題無いんです!」 「なんですか、それ……」  どんな理由付けなのだと苦笑していると、藪中が真剣な面持ちを浮かべ、ジッとこちらを見つめた。
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