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「誉さんっ、いい? 今日は、このまま出したい……っ」
藪中の男らしい太腿と、私の臀部が打ち合う音が大きくなった。鋭利な角度で突き上げられながら感じるのは、彼からの吐精の兆候だ。
程なくして藪中の穂先からは大量の白濁熱が噴射され、私の臍奥や奥に内在する子宮にまで染み渡るだろう。
しかし、それは阻止しなければならないと、脳が一瞬冷静さを取り戻した。
「あっ、駄目…っ! 出来ちゃいます……っ!」
結婚前までに避けたい事があった。それは勿論妊娠だ。
古い考えかもしれないが、ちゃんと籍を入れるまでは身籠る事は望ましくないと思っていたからだ。彼の両親の目もある。
それは藪中も了承済で、ここ最近のセックスはゴムを着用していた。アフターピルでもいいのだが、飲みたくないのが本心だった。
しかし今はどうだろう。あっけなく攫われた理性により、久々に藪中を直で感じ受け入れているのだ。最近は気を付けて前もって避妊を心掛けていたのにと思った瞬間、もしかしてと予感した。
(発情期が……近付いてる?)
「誉さんっ、考え事とか、余裕ですね……っ!」
「はぅ……っ…ぅ!」
藪中が最奥をグンと抉り突くと、私の背が仰け反った。そう言えば藪中も、何時もより少し冷静さに欠けていると今更ながらに気付いた。
やはりこれは発情フェロモンが影響しているのかもしれない。そうなれば受胎率はいつもより高いと悟った。
「藪中さんっ、お願い、です……! 今日は絶対、中で……中で出さないで……っ!」
喘ぎ悦がりながら発した声は酷く上擦っていた。本当はこの胎内に彼の力強い吐精を感じたい。それでも、それを拒否した。
「っ……! そんな事言ったって、誉さんの吸い付きがいつもより……強くて……っぐ!」
必死に懇願する私を見ては、藪中もそれを聞き入れようと、必死に射精を我慢し、一度動きを停止させていた。
子宮口を捕えかかろうと膨らんだ切っ先がヒク付く最中、とにかく最後の瞬間へ向かうしかないと、藪中は再び律動を開始する。
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