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「あぁ、はっ……ぁ」
達した直後で身体を弛緩させながら小さな声を上げた。藪中が何とか胎内での放出を耐え、外へ熱を吐き出してくれた事に安堵が込み上げた。
「っはぁ……っ、誉さん……ごめん」
藪中は荒い息の中、申し訳なさそうに私の身体を抱き締める。
「はっ……ん、なんで……謝るんですか?」
もうお互いの白濁精でグチャグチャだと苦笑する。射精後の気だるさに包まれる中、彼の背に腕を回した。
「いや、だって……さっきは誉さんの事考えずに……」
「いいんです。ただ……」
「ただ?」
「……いえ、何でも、ないです」
忙しない鼓動音を奏でる胸を上下させる中、発情期が近いかもしれないという事を告げようかとしたが、言い留まった。
彼が変な気を回し、アメリカ行きを中止すると言い出し兼ねないからだ。
自分の体の事で迷惑はかけたくない。抑制剤があれば、藪中の不在時、万が一発情期が訪れても乗り越えられるし、それは一度実証済だ。
ただ、発情周期は掴めていない。やはり未発情期間が長かった分、体内でバランスが保たれていないのかもしれないと自己解釈し、宮本センター長も同じような事を言っていた。
今までの発情は、あのパーティーで初めて藪中と体を繋げた夜と、彼が春まで渡米していた期間に一度あっただけだ。その後から今日まで、一切発情期は訪れなかった。
(間違いだったら……いいんですけど)
抑制剤があるとはいえ、やはり発情期には身構えるものがある。
「誉さん?」
「えっ、あぁ……すみません」
情交後に彼是考え込んでいると一気に疲労感が押し寄せる。
「誉さん、直ぐに帰って来ますから。あと、何かあったら必ず直ぐに連絡して下さいね」
「わかりました――っん、ぅ……」
返事が終わるのと同じくして、藪中が優しく啄むように口付けてきた。何度も何度も唇を吸い合いながら、最終的には舌を互いに絡ませ深く深く重ね合う。
唇から伝わる、甘く蕩ける熱に陶酔しながら、この一週間、彼に会えない寂しさを感じずにはいられなかった――。
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