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自分らしくない感情だが、認めざるを得ない。言葉を濁していると、宮本センター長が柔らかな口調で話を続けてきた。
「わかってるって。高城君も来月には結婚が控えてるから、色々無理は言わないつもりだから、そこは安心して。サブの中心者もちゃんと立てるから」
「ちょ、ちょっと、宮本センター長!」
結婚と人前で言われ流石に恥ずかしくなり、身を乗り出した。
「え……? 結婚?」
すかさず久我が話題に食い付く様子を見せた為、ほらやっぱりと言った意味を込めて宮本センター長を睨み見ると、彼は何が悪いのだと惚けた顔を向けてきた。
「別にいいじゃん隠さなくたって! どうせ直ぐに知れ渡るだろうし。しかも相手が、あの藪中さんなんだから」
「宮本センター長、今はその話は……!」
制止させようとしたが、それは無意味に終わり、久我の質問が始まった。
「藪中って、あの藪中……? でも確か、籔中家は御息子が二人でしたよね?俺も社交界の場で、たまに見かけますから……」
今の発言で久我は私をオメガと気付いていないとわかった。それを受け、私は仕方なく白状する事に決めた。どちらにせよ共同研究の最中で知られるのは時間の問題だ。だったら早い事伝えておけばいいだろうと考えたからだ。
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