Marriage Blue(前編)

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「あぁ、誉さん。ごめんなさい、我慢できないかも……」 「は? えっ!?……あっ、んっ……っ!」  下半身の中心部分の違和感に、私は声を上げビクリと背筋を震わせた。何故なら藪中がスラックス越しに自身の猛り勃った屹立を、私の物に密着させてきたからだ。 「ごめん、誉さん……いい?」 「――っ、いいって、だって昨日も……!」  至近距離で顔を覗きこみ問われても、首を縦に振る事が出来なかった。  昨夜もベッドの上で濃密な情事を交わした為だった。藪中との行為は毎回濃厚で激しく、正直連日は辛い。 「でも俺、明日から一週間いないし、誉さんをこの身体でちゃんと覚えていたい」  熱を孕んだ藪中の吐息が鼻先をくすぐると、ワインの匂いが鼻腔を刺激した。  そして彼は中心部を押し付けたまま、舐めるような腰の動きで、お互いの物を衣服越しに擦り合わせてきたのだ。 「っ……!あっ、や、藪中さんっ、待って……」  なんて厭らしい腰遣いだろうかと下肢や中心部が甘く震え泣いた。同時に刺激を与えられ、私の物も意思を持ったかのように蠢きはじめる。 「ほら、誉さんも期待してる」 「あぁぅ……っ!」  耳朶を食まれながら囁かれ、全身を痺れさす声に私は首を仰け反らせると、眼鏡がずり落ちてしまった。直ぐに藪中が眼鏡に手に取るとサイドテーブルの上に置く。 「ねっ、誉さん?」 「あっ、藪中さんっ、こんなところでは……っ」  体を繋げるならリビングライトが明るく照らすこんな場所ではなく、薄暗い寝室に移動したいといった意味を込め言った。しかし藪中の返事は求めるものとは全然違った。 「え? あぁ、たまにはいいじゃないですか」 「えっ!? ちょっ、あっ……!」  冗談じゃないと、行為をやめさせようとするが、それは叶わず、藪中の掌がワイシャツ越しに私の脇や下腹、そして胸へとしっとりとした這う動きで愛撫が始まった。 「あっ……はぅ――っ!」  駄目なのだ。彼から、官能的な手付きで触れられるだけで、私はすぐに堕ちてしまう――。
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