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もうすぐクリスマス・忘年会のシーズン。間中晴美は、寂しい季節を迎えようとしている。インターネットでパーティーをしてくれる人を募った。すると、次々と応募者が殺到した。
「12月24日にクリスマスパーティーを開催したいと思います。皆さん一人一人余興を考えて楽しいパーティーにしましょう」
それから、1ヶ月後とうとうクリスマスイブがやってきた。晴美は、ピン芸人のものまねをしたが、面白くないのか、反応は、なかった。もちろん、他のメンバーも歌あり、劇ありの余興だったが、いまいちだった。盛り上がりに欠けるものばかり、最悪のパーティーとなりつつあるかと思われたその時、一人のイケメン男性が出てきた。
「川野大和です。ダンスします!」
音楽がかかると華麗なダンスが始まった。まるでEXILEのようなパフォーマンスで観る人の心を魅了していった。会場の人たちも手拍子が起こった。晴美も魅了していた。
「これよ、私が求めていたのは!」
終わった後、拍手の嵐。大和もご満悦の様子。パーティー終了後、晴美は、大和を食事に誘った。大和は、快く承諾した。晴美は、行きつけの焼き鳥屋に連れて行く。焼鳥をほおばる大和にほっこりとして見惚れている晴美。
「ごちそうさまです。旨いっす」
大和は、急に涙をこぼした。心配になった晴美は真相を尋ねた。
「すみません。俺、パフォーマーになりたくてバイトで学校に通っていて、生活苦しいんです。それを考えたら苦しいんです。それを考えたら、涙がとまらなくなったんです」
「大変ね、ねえ、良かったら、私と一緒に暮らさない? 家賃もいらないし、思う存分学校に通えるわよ」
「本当ですか?助かります日本一のパフォーマーになって、必ずや晴美さんに恩返ししますから」
「待ってますからね」
年が明けたある日、大和が突然何も言わずにいなくなった。
田舎から出てきた妹は、「お姉ちゃん、それって詐欺じゃない?気をつけたほうがいいわよ」
晴美は、はっとして引き出しの通帳を見てみる。
「ないわ、やられた」
「お姉ちゃんは、疑わないで信じるから騙されるのよ! 早く銀行と警察に行こう」
晴美はショックで腰を落とした。
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