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「あのさ、祐二さん」
隣で裸の遼が、遠慮がちに声をかけてくる。俺はそっちを見て、このでかいペットをどうするかを、かなり考えていた。
「今日はもう休みになったみたいだし、よかったら胃に優しい料理作るよ」
「料理?」
そういえば、さっきも料理ができるとか言っていたな。
「大したものないぞ」
「あるもので作るよ。作ってきてもいい?」
「…好きにしろ」
俺はそう言ってもう一度ベッドに寝転がる。その隣で遼は起き上がり、スタスタとリビングに向かう。
眠れるわけではないが、ゴロゴロしている俺は盛大な溜息をついた。
このマンションを買ったのは、彼女と暮らすだけの広さが欲しかったから。
料理なんてする女じゃなかったが、暮らし始めたらと思って困らない程度には揃えた。ベッドは大きめのダブル。
四年、温めてきたつもりでいたのは、俺だけだったらしい。
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