お散歩

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 とにかく服をどうにかして、俺は遼と出かけた。  下着やシャツ、ズボンも三本。  意外と遠慮深いらしく、「そんなにいらない」と言っていたが俺が押し切った。だいいち、洗濯するとは言えシャツ二枚にズボン一本でどう生活するんだ。  買い物を終えて外に出てくると、世はすっかりクリスマスモードだ。 「あと一カ月くらいで、クリスマスなんだね」 「あぁ」  俺としては、祝う気分じゃない。日本のクリスマスは恋人同士の特別な夜というのがお決まりで、あっちもこっちもカップルが多い。それを見るたび、俺の胸は痛む。 「あっ、クリスマスケーキ!」  ケーキ屋の前で足を止めた遼は、展示用のケーキに目を輝かせる。子供みたいな奴で、行動が突飛だ。仕方なく俺も足を止めると、キラキラした目で俺を見た。 「あのさ、クリスマスになったら俺がケーキ作っていい?」 「ん?」  それは…俺と一緒にクリスマスを過ごすということか? 「俺は…」 「美味いの作るよ。信じてって!」  味の問題じゃない。そもそもクリスマスはそれなりに忙しい。  だが、ケーキを見て子供みたいにはしゃぐこいつに言う事もないと、俺は黙った。それに、ちょっとだけ笑ってもいた。
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