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「寒いから、さっさと帰るぞ」
「ご飯は? 冷蔵庫の中、本当に何もなかったけど」
「カップ麺」
「はぁ?」
俺の食生活は、それは酷いものだ。外食か、弁当か、カップ麺。
勿論それを美味いと思って食べているわけじゃない。美味い料理がどういうものかは、知っているつもりだ。
けれど一人暮らしでは作るのが面倒くさい。だからさぼっている。
けれど遼の奴は呆れたと言わんばかりの顔をしている。そして、俺の手を引いてスーパーに駆けこんだ。
「俺がいるんだから作る。祐二さん顔色よくないと思ったけど、食生活悪いでしょ」
「ほっとけ」
「食べるのは基本なの! バランス悪い食生活してたり、偏ったりすると本当に体に悪いんだから。病気になるよ」
お節介なまでに言うこいつを、俺は面倒と感じつつも嫌いではなかった。よくよく思えば、こんな風に言ってくれる奴は今までいなかった。
「手っ取り早く、今日はキーマカレーなんてどうかな? 野菜も入ってるし、調理時間も短いし。ご飯はまだあったから、茄子とトマトとひき肉と…」
独り言みたいに言う遼の後を、俺はついていく。裏をひっくり返したり、あれやこれやと楽しそうだ。パンや飲み物も買って、お会計。俺はやっと家に戻ってきた。
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