同居初夜

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同居初夜

 疲れてソファーに座り込むと、遼はせっせと夕飯の準備。感心する。  台所に立つ自分よりでかい男を、俺はぼんやり見ていた。皮肉にも、これが俺の理想の風景だった。  仕事を終えて戻ってくると、電気がついていて、お帰りを言ってくれる人がいる。  テーブルにはもう食事の準備ができていて、一緒に食事をする。俺の願いは本当に、そんなことだった。 「どうして前の男は、お前を捨てたんだろうな」  俺の独り言を、遼はちゃんと聞いていて顔を上げる。そして、目を丸くして言った。 「女の人ができて、結婚するから」  いや、そういう意味で言ったんじゃないんだが。 「捨てるのは勿体ないとか、思わなかったのかってことだ」 「どうだろう? あの人、生活がけっこう派手でね、俺の世話なんて必要なかったんじゃないかって思うんだ」  どうやらこいつは、どんな相手にもこうした世話を焼いているようだ。俺はそれに感謝するかもしれないが、そうじゃない奴だっているのか。  遼は料理の手を休めないまま、俺に前の男の話をした。
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