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街がクリスマスのイルミネーションに彩られ始める頃、俺こと浅井祐二は、四年付き合っていた彼女と別れた。
『貴方にはもう飽きた』というのが、彼女の理由だった。
仕事が忙しく、特に軌道に乗り始めた二年前からは会う時間が少なくはなっていた。けれど、それでも大事にしていたつもりだった。
結婚…というのはまだ何年か後の話だと思ってはいたが、考えてはいた。
ショックで、どうにもまともではいられなくて、一人夜のバーを飲み歩きに出た。
大して飲めもしないくせに浴びるように飲んで、前後左右も分からなくなった。この状態なら何だってできるような気持ちになっていた。
午前0時を回って、俺は歩いているのかもよく分からない状態で外に出た。足が地についているのかも不確かだ。周囲なんて一切見えているはずがない。
そのまま、ふらふらと外を全く何も気にしないで歩いていると、突然後ろから腕を強く掴まれた。俺はそのまま逆らう事もなく、後ろに倒れた。
そこには、俺よりもでかい男がいた。肩ぐらいまである茶髪に、なかなかいい顔をしている男。そいつは俺を見下ろして、案外可愛い顔で眉根を寄せた。
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