怒涛の朝

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 俺はたっぷりと、こいつの言った事を頭の中で反芻した。  家がない? いや、今の時代家のない難民と呼ばれる若者が多いのは知っている。でも、こいつ本当に手ぶらだ。それにしては身なりがいいが。  パニックの俺に、遼は本当に慌てたように近づいてきて、俺の手を取る。  怯えたわけじゃないが、その必死さにちょっと怯んだ。けれど、捨てられた犬みたいに寂しい目をしていたから、無下に振り払う事もできなかった。 「説明するから、お願い聞いて。嘘みたいだけど、本当なんだ」  俺は諦めた。諦めて、遼の話を聞くことにした。大体、迷惑をかけたのは俺のほうだ。話くらいは聞いてやる。  ベッドに正座をしている遼を前にして、俺も座った。 「俺、三日前まで男のヒモしてたんだ。四~五カ月くらい。でもその人、女の人と結婚するから俺とはもう住めないって言われて、家を出てさ。街でずっと、俺のこと拾ってくれそうな人を探してたんだ」 「それで、俺か?」  遼は何度も頷く。  俺は頭が痛くなった。最近の若いのは楽して生計立てようとして、挙句男のヒモなんて。呆れてものも言えない。
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