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「そうやって路頭に迷ってる時に出会ったのが、あの人だった」 「ほんとに、不幸中の幸いだね」 「大幸いだよ。こういうのも変な話だが、捨てられて良かったって思ったよ」 * 「どうしたの? 大丈夫?」  彼女が現れたのは捨てられてから二日程たった頃だった。歩き疲れ、空腹と喉の渇きでへたりこんでいる所に、仕事帰りなのかスーツ姿の彼女は優しく声をかけダッフルの頭を撫でた。 「可哀想に……歩けないのかな、この子。よし。ちょっとごめんよ。よいしょ!」  そしてどこをほっつき歩いていたかもわからない汚い自分を、彼女は躊躇うことなく両腕に抱え込んで歩き出した。  この時まだ彼女の言葉も分からない状態だったが、ダッフルには感覚で分かった。  ――この人は、あいつらとは違う。  疲れと彼女に包まれた安心感からか、ダッフルは彼女の腕の中で気付けば眠りに落ちていた。  次に目を覚ました時、ダッフルはどこかの家の和室に寝転がっていた。何やら心地良い風が当たるなと思っていると、扇風機が自分の方に向いてぐるぐると風を送っていた。 「あ、起きた」     
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