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声が横から聞こえダッフルが声の方に首を向けると、昨日の夜の彼女が微笑んでいた。彼女は腕を伸ばし、ダッフルの頭をまた優しく撫でた。
不思議な感覚だった。彼女が触れているのは自分の頭なのに、何故だか身体の内側からじんわりと暖かくなる、経験した事のない心地良い感覚だった。
「お腹、空いたでしょ。ちょっと待ってて」
彼女はとたたっとその場を離れ、すぐに何かを持って戻ってきた。
「お口にあえばいいんだけどねー。犬飼った事ないから適当に買ってきちゃった」
銀の皿の上にはころころとした小粒のようなものと、瑞々しい何かの切り身のようなものが乗っていた。
香ばしい匂いが鼻をつくと、呼応するかのようにぐうっと腹が鳴った。ダッフルは目の前の食事にむしゃぶりついた。ぶわっと旨味が口の中に広がった。しかし腹が減り過ぎていた事もあり、味を丹念に楽しむ間もなく、がつがつとよく分からないがうまい何かをがむしゃらに頬張った。
「よっぽどお腹空いてたんだね。可哀想に」
「首輪がついてるから、やっぱり捨て犬なんだろうな。ひどい奴がいるもんだ」
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