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「只今、ハルト港に接岸しました。降り口は船上1階の船首、右舷側になります。繰り返します。降り口は船上1階の船首、右舷側になります。係の者の指示に従ってお降りくださいますようお願い申し上げます。本日は客船ラズベルをご利用いただき、ありがとうございました」
クランとユリアラは人の波に押されるように船首の右舷側に向かった。
乗船券を出して流れに従って歩いていると、やがて自分たちの番になり、係の者は、乗船券を確認後、にこやかに笑って、ご乗船ありがとうございましたと言うと、あとに続く者たちを次々確認していった。
クランとユリアラは、荷物を持って梯子段を下り、カザフィスの地に立った。
「さてと、これからだな」
クランがそう言って、ユリアラを見返った。
「準備はいいか?」
ユリアラは無言で頷いた。
どんなことが待っているか判らないけれど、とにかく始まったのだと思った。
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