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考え違いでなければ、カザフィスに行ける。
他人の金でだ。
「さあ、早く!」
カルトスの声に押されるように、ユリアラは部屋を出た。
急いで家に帰って、手頃な鞄に服を詰める。
ボルドウィン家に戻ると、クランはまだいて、カルトスとナタリイにユリアラを連れて行くよう言われているところだった。
「君はそれでいいのか?」
言われて、ユリアラは即座に頷いた。
「異国の街を見たいと思います」
クランはその答えを気に入った。
クランの見張りのためではなく、ユリアラ自身の好奇心を満たすためだと知ったからだ。
「分かった。出発は明日の朝7時だ」
カルトスとナタリイが、ほっと息をつき、頼んだよとユリアラの肩を叩く。
ユリアラは、準備した鞄を、少し早かったかと見下ろした。
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