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「漆崎さん、あなたはたしかによく頑張っているわ。だけど、自分の口から努力したという言葉が出ているうちはまだまだ努力の余地があるということよ」
正論だった。まごうことなき正論。一言も言い返すことができない。
だけど、違うんだ。そうじゃない。
「そんなこと…わかってます」
そうなんだ。そんなことは分かっている。
「ゆいにゃん?」
不安いっぱいと言った表情で漆崎の顔を覗き込もうとする優奈。
その顔と漆崎の顔がぶつかってしまいそうになるほど、漆崎は勢いよく立ちあがった。
「でも、頑張ったって、努力したって、実らないことだってあるじゃないですか!」
どれだけ溜めこんだ思いだったのだろう。彼女の感情はついに弾けた。
ぽかんとした表情を浮かべる優奈と白河。それに対して一瞬我に返ったのだろう。漆崎はその瞬間だけハッとした顔になった。
だけど一度吐き出した思いは、そう簡単にひっこめられることはない。漆崎はほんの少し目に涙をためて
「先輩方には…わからないですよ!」
そう言うと、勉強道具一式をカバンの中に詰め込んで、部屋を出て行ってしまった。
「ゆいにゃん!!」
優奈の声は彼女に届いていたかは分からない。しかし、その場にいる誰もが漆崎を追おうとはしなかった。
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