警視庁第十九課 『ニート殺害事件』

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 エレベーターが十階で止まり、彼らは事件現場へと向かう。  小暮享也が自殺を図ったとみられるマンションの一室は、もう既に警察が調べたとみえて、整理されているようだった。 「まったく、現場を荒らさないでほしいな」 「そうなの? もともときれいな部屋だったんじゃないの?」  遊星は、床を指差す。  遊星のいう通り、小暮享也が住んでいたこの部屋は、とても清潔に掃除されていた。というのも、部屋の床にはホコリ一つ見当たらない。かなり徹底的に掃除しているようだ。  タンスの上の写真にも、ホコリが一切被っていない。  写真には、幼い頃の享也の野球着姿が写っている。右手にはめたグローブは、相当使い込まれているようだ。
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