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遊星に衝撃が走る。その様子を見て湊人はただ笑みを浮かべているだけだ。
まるで、自力で解いてみろとでもいうかのように。
遊星は急いで資料を見る。そして同時にアッと声を上げた。
「被害者は、右のこめかみを撃って死んだ……」
「そうだ。左利きの人物が、だ。不自然じゃないか? 拳銃を利き手じゃないほうの手で扱うなんて。普段銃を使う人ならともかく、被害者が銃を使うような人間に見えるか」
湊人はタンスの上の写真にも目を向けた。そこで嬉しそうにはにかむ少年の右手には、グローブがしっかりとはめてあった。
「だけど、右手で撃った可能性だって否定できないよ?」
遊星は湊人に向かって聞く。すると、湊人はゆるゆると首を横に振った。
「確かにそうだけどさ、これは殺人事件だ」
そう湊人は断言した。
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