警視庁第十九課 『ニート殺害事件』

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 だが、彼がそう断言するのには、確証が足りない。  ただの違和感が、湊人に殺人だと告げたのだ。  というのも、「左利きの被害者が、右のこめかみを撃って死亡した」。このことについて、先ほど彼自身も述べていたように、左利きの人物が右手で慣れない拳銃を扱うのは不自然であること。  そしてもう一つ。 「この部屋、きれいすぎやしないか?」  そういわれてみればそうだ。警察がいくら調べていったからとはいえ、床にホコリ一つ落ちていないというのはおかしい。  つまり、誰かがここに来て掃除をしたということだ――証拠を消しに。  そして、その誰かというのは一人しかいない。 「婚約者の大井澪。彼女に話を聞こう」
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