警視庁第十九課 『ニート殺害事件』

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 大井澪は翔大のメモによると、古いアパートの一室に住んでいるそうだ。 「こんにちは、澪さん、います?」  彼女はドアを開けた。 「ええ。どうかしましたか?」  そこに立っていたのは、二十代前半と思われる、美しい女性だった。長い黒髪をサイドダウンで綺麗にまとめ、休日にもかかわらずちゃんと化粧を施していた。  よほど身だしなみに気を使う人なのだろう。だがきつい印象はなく、どちらかというと清楚と表現したほうがいい。そんな女性だった。 「ちょっと、お話聞かせていただいてもいいですか」  澪は湊人たちを招き入れた。  彼女の部屋は、ピンクと白を基調にした女性らしい部屋だった。部屋の隅にはいくつかダンボールが置かれており、その中には、洋服などの生活必需品がたくさん詰まっていた。  恐らく引越しでもする予定だったのだろう。
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