警視庁第十九課 『ニート殺害事件』

2/34
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 ここは都内の静かな喫茶店。そこにはスーツを着た二人の男が座っていた。 「マスター、いつもの頼む」  黒髪の男性が店主にオーダーする。 「本当にいつも災難だよな。非番のとき限定で事件が舞い込んでくるなんて」  黒髪の男性――森嶋(もりしま)湊人(みなと)が言う。  その言葉に今まで伏せていた顔を上げたのは、湊人の相棒である、明烏(あけがらす)遊星(ゆうせい)だ。 「湊人はいいよね、ちゃんと休日があって。ねえ、今回で何回目? 僕の貴重な貴重な休日が無くなったの」  湊人は指を折って数え、丁度両手がグーになるところで指折りをやめた。 「そう、十回目だよ! 不運にもほどがあるでしょ」 「まあ、仕方ないんじゃないか。それも覚悟の上で警官になったんだろ」 「そうだけど……」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!