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十九課のデスクに行くと、もう既に翔大が待っていた。
「おはようさん」
「ああ、おはよう。遊星はどうした」
「遊星は、まあ、寝坊か」
翔大につられて湊人も時計を見る。時計の針は、八時を指した時。
「ごめん。遅れちゃった」
寝癖もそのままに遊星が飛び込んできた。
「遅い。寝坊か」
遊星は頷き、湊人はため息をつき、そして翔大は声を立てて笑った。
「さて、今日からは澪の恋人について調べていくぞ」
「で、具体的にはどうするの」
遊星の言葉に答えたのは、翔大だった。
「まずは恋人が誰なんか調べることからやな。写真はホストクラブで撮られたみたいやから、ここ、当たってみ」
翔大は湊人にメモを差し出した。
「『ホストクラブ フォルティッシモ』か。ありがとう、行ってみる。遊星、行くぞ」
「いってらっしゃい」
湊人と遊星が出て行った部屋で、翔大は一人ミルクティーを飲む。
「せやなぁ。最後、遊星がキレんかったらええけど」
翔大は顔に残る傷を撫でながらそう言った。
その顔に、笑みを浮かべながら。
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