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「おい、翔大。どういうつもりだ」
湊人は翔大に詰め寄る。事態が飲み込めない遊星は、ただ周りをおどおどと動き回るだけだ。
「なんのつもりやって言われても。さあ、なんのことかな」
「とぼけるな。大井澪は二人いたんだよ。お前はそれを知っていたんじゃないか?
そして遊星。止まれ」
「俺になんかメリットあるか? そんな無駄なことするぐらいやったら、昼寝したいわ」
「高校のときから、お前はそうだったよな。『あの事件』の時も、お前は散々引っ掻き回した挙句、アイツを追い込んだ。今回も裏で何か動いているんじゃないか?
そして遊星。そろそろ落ち着いてくれ」
翔大は肩をすくめ、その場を去ろうとした。しかし、彼の動きが止まった。湊人が彼の袖を掴んだのだ。
「どこに行く」
「外に出るだけやけど」
「話はまだ終わっていない。座れ」
翔大は素直にその指示に従った。だが、その顔には不気味な笑みが浮かんでいた。
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