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その言葉を待っていたかのように、マスターは湊人に頼まれたメニューを持ってきた。
「ごゆっくり」
「ありがとうございます」
お礼を言って、湊人と遊星は運ばれてきた飲み物を飲む。
「それにしても湊人。いつも思うんだけどそれ、子供っぽいよね」
湊人の手には、ミックスジュースが入ったグラスが握られている。
「仕方がないだろ。コーヒーは嫌いなんだ」
「確かに湊人、コーヒー嫌いだよね。理由は確か、苦いから。だっけ?」
「遊星」
「そうそう。湊人は甘いものが好きなんだよね。俗に言う甘党って言うやつ? もっとも、甘いものしか無理だよね」
遊星としては、自分の不運を嗤った湊人に、仕返しをしたつもりだった。だが。
「は?」
彼がまくしたてた言葉は、どうやら湊人の導火線に火をつけたようだった。
「もういい。お前とは二度と捜査しないからな」
「え、湊人? 冗談だよね? ちょ、ちょっと待って!」
湊人は遊星を置いて店を出て行く。遊星もそのあとを追った。
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