警視庁第十九課 『ニート殺害事件』

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 もう一人の澪とは違い、こちらは殺風景な部屋だった。壁紙も白、床も何の変哲もないフローリングだった。家具もそこら辺の家具屋に売っているようなもので、普通の部屋だった。 「どうして閉めようとしたんだ」  澪はうつむいて何も答えない。 「黙っていても何も分からない。そうだな、二人の大井澪。何か知っているか」  すると彼女は顔を上げ、閉ざしていた口を開いた。 「私が、大井澪です。彼女は本当は、河原(かわはら)ひかりという名前です。彼女は私の大学時代の友人でした」  澪が話す言葉に影があるのは気のせいだろうか。湊人はそんな印象を受けた。 「なぜひかりさんがあなたの名前を使っているのか、その理由を知っていますか」  すると澪は首を横に振った。ため息をついてその場を立ち去ろうとしたとき、彼女は湊人の袖を掴んだ。 「どうした」 「実は私、ある人に脅されているんです。助けてください」 「ある人というのは、中井徹のことか」  彼女は目を見開いた。どうやら当たりのようだ。湊人は姿勢を正す。 「その話、聞かせてくれないか」 「彼は私の元カレです。そして彼の恋人のひかりも、私を脅してきたのです」  澪は息を吸い込んで、 「彼らが、小暮君を殺しました」
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