警視庁第十九課 『ニート殺害事件』

　彼らは第十九課という部署に所属しており、以前は捜査権を持たなかった。

　とはいえ仕事は何かしなければならないため、主な業務は書類整理など、事務的なものでしかなかった――そう、以前までは。

　去年から、第十九課のトップが変わったのだ。　新しくトップに就任したのが、布井(ぬのい)祐一(ゆういち)。

　自分の意見をはっきり口に出すタイプで、その竹を割ったような性格からか、湊人たちからは布井チーフと呼ばれて親しまれている。

　その布井チーフに代わってからは、第十九課も捜査に加わることができるようになった。

　そして、優秀な成績を収めることにより、他の課や係にも認められ始めた。

　今では捜査一課と合同で捜査する機会も多くなり、まだ知名度は低いとはいえ、知っている人は知っている、いわば縁の下の力持ちである。

　それが湊人たち三人が属する、第十九課だ。