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小暮享也が亡くなったマンションは、警視庁から車で十分程度の場所にあった。
比較的最近建てられたマンションのようで、防犯対策がしっかりしているようで下の入り口もオートロックだった。
「これだと外部犯の可能性は低いな。被害者の部屋は何号室だ?」
「えっと、一〇一〇号室だね」
エレベーターで十階まで上がる。その間、二人は一言も話さなかった。いや、正確には、遊星が湊人に話しかけなかったのだ。その原因は湊人にある。
湊人は、エレベーターの壁にもたれて何か考え事をしているようだ。そう、その何かとは、この事件のこと。
湊人には、いつも周囲のことそっちのけで考えを巡らせる癖がある。その湊人の思考の間にうっかり話しかけてしまうと、かなり怒られてしまう。
その危険があるので、遊星は一言も喋らずに静かにしていたのだ。
触らぬ神に祟りなし、である。
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