愛されなかった者

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入学式と言えば誰しもが早く終わってほしいと思うもの。 特にそう思うのは来賓紹介と校長の話だ。 真剣に聞く人も少なく、またそれは自分も例外ではなかった。 来賓って多いんだよね。祝ってくれる人がいるのはいいと思う・・・。 でも、私には関係の無い事だ。裏切るかも知れない私が二番目に嫌いな人達の話なんて、聞く耳を持ってはいけない。 そうして1時間ほどで入学式は幕を閉じた。私にとって入学式はやる意味がない気がしていた。 高校に入っておめでとうという式ではあるが、おめでとうなんて、誰も言ってくれない・・・。 教室に帰ってきても担任の話がまた長い。親に向けてのプリントや、これからの事についてなど、渡すものと話すことが沢山だった。 お陰でバックの中はパンパンだった。 先生の話も終わり、みんなは一斉に下校をした。 当然、私には帰る人がいなく、家に向かう道が同じ人もいなかった。 思わずため息が出てしまう。これでは、何故この学校に来たのか自分でも分からなくなってしまう。 一人でとぼとぼと歩いていると、ボールを追いかけてきたまだ4歳くらいの女の子が道に飛び出してきた。 その姿を見て自分が小さい頃を思い出す。 昔はよく、近くの公園に行ってボールを投げたりして遊んだなって。 小さい子を見ていると、その記憶が蘇ってくる。でも、もうそんな楽しい時代は、私には訪れない。 そう思いながら、女の子を眺めているのも束の間、突然遠くから猛スピードで走ってくるトラックが目に入った。 そのトラックが向かう先を見ると、先程の女の子が目に入った。 女の子は気づいておらず、ボールに集中している。 「危ない!!」 気がつけば私は女の子の方に駆け出していた。それに、何故か死を恐れてはいなかった。 私が女の子を庇ったのとトラックが当たったのはほぼ同時だった。 そして私は思わず、目を閉じた。
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