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長い夢を見ていた気がする
まるで、自分が自分じゃ無くなっていくような夢・・・
私には、生きる価値などない。生涯孤独なんだと、
それに、神様を信じた訳じゃない。
もし、これで幕末に行っても今と同じなら・・・私は、生きている資格なんて無い。
でも、その不思議な空間に包まれている私には、そんな悲しい事は思い浮かばなかった。
―――――――――――――――、
「主・・・主ー生きてるかぁー?」
「大丈夫ですか?」
「んんー・・・、」
二人の声で目を覚ます。どこかに倒れているようだ。体を起こしてあたりを見渡す。ここは高台にある森の中のようだ。
とりあえず立ち上がって服についた砂を払う。
「おっ、和服になってる!?」
和服になっている事に気づいて少し戸惑う。しかし、そんなに驚くことではなかった。
神様が着せてくれたのだろう。そんなに動揺もせずに、片手に持っていた巾着袋を懐に閉まって、刀を左にさした。
「えっと・・・こうでいいのかな?」
「詩音様バッチリです。」
「なんかしっくりくるよな。」
「そう?」
と、何気なく会話する。
こんなにも話す時間があったのは初めてだった。
「なぁ、主。これからどうするんだ?」
「・・・どうしようか?」
今はまだ日が登っていない夜。しかし、月は低い位置にあった。
と、一つの考えが浮かんでくる。
「吸血鬼になったから、力とか試してもいいかな?」
夜だし誰も見てないから良いよね、と二人に言う。
「あ、でもどうやって力出すのかな?」
「それなら、自分が力を出すぞと思えば大丈夫だと思います。」
「・・・こう?」
ふっと体に力を込めると、力が湧き上がってくる感じがした。
「主は吸血鬼っぽいね。」
「そんなことないよ。ついでに飛んでみるか。ねぇ、翼出さなくても飛べるの?」
「はい。翼は、本当に必要な時の方がいいと思います。今はまだなったばかりですし、あまり力を使わない方がいいと思われます。」
丁寧に白夜は説明をする。まだ分からないことだらけという事が身に染みた。
とりあえず、木の上にでも登って街が何処にあるのか調べようと考えた。
そのことを噛み締めて、飛べ!と思いながら少しジャンプをしてみた。
すると、体がフワッと浮かんで一気に木の上まで飛んだ。
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