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「本当に飛んだ!?」
「さすが、初めてにしては上出来です!!」
「お、俺・・・高い所は・・・。」
「何ビビってんの朔夜。これから何回もあるんだから慣れなさい。」
「でもよぉ・・・・・・。」
と、二人の会話を聞いているとふと、疑問に思った事があった。
「二人って・・・どういう関係?」
白夜の上から目線。そして弱気になっている朔夜。
姿は刀だが、会話からして仲がいいように読み取れた。
「とりあえず、町まで向かいましょう。その道中でお話致します。」
そういうので私は、とりあえず明かりがぼんやりと見える方へ向かった。
少し経ってから気づいたが、
先程までいた場所は随分町から離れていたらしく、明かりが見えたのも吸血鬼になったお陰だという。私は遠視なんだけどね・・・。
そして、そこに辿り着くまでに幾つもの山を超えなければならなかった。その道中で話を聞いた。
「それで、二人はどういう関係なの?」
改めて二人に問う。
「・・・少し長くなりますが、私達は元々は人間でした。」
静かな夜に、白夜の声が囁くように聞こえた。
「私と朔夜は幼馴染みで毎日何処にいるのも一緒というくらい仲がよかったのです。」
「俺にとっては姉さんみたいなもんだった。」
「そんなある日、急に事故が起こりまして・・・あまり思い出したくは無いのですが、詩音様と同じような目にあい、私達も神様の所へ行きました。そして、そこで神様はこう言いました。
『人の役にたってみないか』・・・と。
それから、私達は何度も姿を変えて手助けをするようになって、そして今、こうして詩音様の所にいる訳です。」
「・・・そうなんだ。」
白夜の話を聞き終わって静かに言った。
どこか聞いては行けないようなことを聞いてしまい胸苦しかった。
「ごめんね、無理に話させちゃって。」
「大丈夫ですよ。いつかは話す時が来るとは思っていましたから。」
本当の友達が出来たようで私は嬉しかった。話す人が居てくれる事自体が嬉しいのだろうか。
そう話している内に、明かりは近くなっていく。
そして、いつの間にか日が昇り始めて来ていた。
「そろそろ町ですね。少し離れた所で降りなければ見られてしまいますのであそこの茂みにでも降りましょう。」
「わかった。」
そう言って、私は少し離れた所に着地した。
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