愛されなかった者

3/31
前へ
/206ページ
次へ
暗闇の中一人に、光が差し込んできた。 私はその眩しい光を見た。 「お前・・・一人なのか?」 どこからかそんな声が聞こえてくる。でも、声だけしか聞こえない。あなたは・・・・・・ 「あんな事したから、みんないなくなった。・・・いや、あんな事しなくても、最初っから周りには誰もいなかった・・・。だから、ずっと1人で生きていかないといけないんだよ。きっと・・・私は、そういう運命なんだよ。」 「・・・そっか。なら、俺がお前と一緒にいてやるよ。だから、もう泣くな。笑ってろよ。」 知らないはずの声なのに、どこか懐かしいそんな声。私は届きそうで届かないその声に手を伸ばした。 ――――――――――、 昔からそうだった。親は私が小学生の時にいなくなり、先生や友達からも見捨てられた。 ・・・いや、あれは友達なんかじゃない。友達なんて、ひとりもいない。 入学したては、そうじゃなかった。 あの時はまだ、偽りでも・・・笑っていたのに 一人なのは最初から。いつも学校にくればいじめられる。 テストで100点を取っても先生も誰も褒めてはくれない。それどころか何故だか馬鹿にされる。 「調子に乗りやがって」 そう、言われ続けた。 家に帰っても、頼れる人は誰もいなかった。 だから 私は歌を歌う。 自分の感情を、他人に伝えるかのように。自分で歌を作って。 なんで親がいなくなったのかなんて、今じゃ思い出したくもない。1人だから、学校だって行きたくない。 でも、やっと・・・友達が出来るかもしれないから、受験もした。いじめに耐えて、私は1人を卒業するためにたくさん勉強もした。 1人ってね・・・・・・想像以上に残酷なんだよ。
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

209人が本棚に入れています
本棚に追加