愛されなかった者

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あの夢は何回も見る。いつも同じ夢ばかりを見る。 これが何を表しているかは分からなかった。考えても答えには辿り着かない。 しかし、それでもやはり考えてしまう。学校に着くまで、私はずっとそのことを考えていた。 私が通う高校は、知っている人が誰もいない。むしろ、自分からその学校に入ったのだ。それに、そんなに離れた所ではないから一時間歩けば着く。 家に残ったお金が少ないため、バスや電車を使う余裕など何処にもない。 「・・・バイトしなきゃな。」 一人でそう呟く。 だが、私は昔から何をやっても上手くいかなかった。だから、学校でも虐められて、家でも一人。 話す人も誰一人としていなかった。 家族の思い出といえば、まだ幼い時、父親と剣術をやったこと位。 それ以外は特にこれといった思い出はない。だからと言って、中学で剣道部には入らなかった。 いじめられているのに、入る気にはなれなかった。本当はやりたかったけど・・・。 だから、父に貰った木刀を庭で素振りする程度しか出来ない。相手も・・・どこにもいない。 学校に着き、自分のクラスを確認して教室に入る。もう教室には何人か登校していて、既にグループを作っていた。 自分の席に座り、そこから見える景色を眺めた。 今まで人と関わりがないため、友達が欲しいと思っても自分から声をかけることは出来なかった。 次々と登校してくる人達は自分から声をかけたりして話していたりするのが目に止まる。私に、そんな勇気など、ありはしない。 そうしているうちにチャイムが鳴り、入学式の会場、体育館へと向かった。
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