第1話 着信音

1/1
前へ
/32ページ
次へ

第1話 着信音

「あぁーつまんね。 なんか楽しい事ないわけ?」 2人で、ファミレスに来ていた。 「彼女でも作ったら? こんな休みの日に、男2人でファミレスなんて、来てる時点でつまらんだろ」 親友の悠真(ゆうま)がそう言ってきた。 「うるせーな。できねーんだよ。 そう言う悠真だって、いねーじゃねーか」 「気になる子は出来たぞ。おっ電話だ。 そしてその子だ、わりぃ」 もしもしって声のトーン変わってんじゃねーか。 そんな時だった。 ブー! ブー! ブー! 電話だ。 誰だこれ? 「ちょっと待ってね。 おい、いい加減その着信音やめろ。 怖いわ! もしもーし? ごめんね?」 電話中に、わざわざ言うてくんなっての。 ってまだ鳴ってるな…取ってみるか。 「もしもし? どちらさん?」 「もしもし…とおるくん?」 おっ!? かわいい声だなー。 でもとおるじゃねーしな。 「俺は和樹(かずき)だよ。 間違えんたんじゃない?」 「ご、ごごごめんなさい!」 「ははは。 いいよ、そんな謝らなくても。 俺もちょうど暇だったしね」 そそっかしい感じの人なのか? そんなことを考えていた。 「優しいんですね…とおるくんとは大違い…ってなんかすみません!!」 「すぐ謝るね。いいよ、そんな気を遣わなくても。 俺はとおるくんじゃないしね?」 ちょっとスネた感じで言ってみた。 「ふふふ、可愛いですね。 確かにとおるさんとは違いますね。 かずきさんですね? 私の心にインプットします♪」 ちょっ! ちょっ! この子かわいいですけどー! 俺の心が少し弾んだ。 「かずきさん? かずきさんが暇な時、また電話してもいいですか…?」 もちろんですとも! 「あぁ、構わないよ?」 何を我ながらイキってんだよ。 「うぁー! ありがとうございます! じゃあまた電話さして頂きますね!!」 ツーツーツー。 電話が切れた。 そういや、名前聞くの忘れたな…。 まぁまた電話してくるだろ。 この時はそう思った。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加