第3話 彼女の名前

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第3話 彼女の名前

ぶるるる…ぷるるる…ぷるるる…。 出ない…夕方だし、まだ仕事してるのかな? 切ろうと思ったその時だった。 「はい…もしもし?」 で、出た! 「も、もしもし? この前とおる君と間違えて電話した、和樹だけど…覚えてる?」 「あぁー和樹さん! 覚えてますよ♪ あの時は失礼しました!」 がさっと音が聞こえた。 ぷっ…失礼しましたっていいながらお辞儀しただろ、この子。 「暇になったので、電話してみたよ。 ごめん、忙しかった?」 「いえいえ、全然ですよ! ちょっと全身汚れちゃったので、お風呂に入ってた所でした」 全身汚れた? あぁー今日は雨が結構降ってるから、転んで全身泥まみれとかか? 「おっちょこちょいだなー」 「おっちょこちょい?」 「いやいや、こっちの話!」 あぶね…心の声が漏れちまった。 「ところで、突然なんだけど名前なんて言うの?」 「名前…ですか?」 んっ? なんか声のトーンが下がったような? まずい事を聞いちゃったか…。 「私、自分の名前嫌いなんです…」 そう言うことか。 名前が少し変で、コンプレックスがあるのかもしれない。 「ごめん! なら言わなくても大丈夫だよ!」 「なんかすみません…。 でも周りからよくあだ名で、ついって呼ばれるんです。 なんか私と居たら、ついつい何かを言いたくなるみたいで、それでついって。 変ですよね?」 ついって変なあだ名だなー。 そう思ったけど、少しわかるので話しを合わした。 「それわかるわー。 さっきもつい言っちゃったしね。 おっちょこちょいって」 「それ、よく言われるですけど、私自身はそう思わないです!」 天然の子かな? 天然の子は、天然という事を認めないからな。 「ははは。 まぁいいんじゃない? そんなキャラでも?」 「あぁー! 和樹さん、なんかバカにしてませんかー? もうー!」 ついちゃんと喋ってる時間は凄く楽しかった。
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