第5話 束縛

1/1
前へ
/32ページ
次へ

第5話 束縛

ブー! ブー! ブー! 誰だこんな朝早くから? ちらっと時計を見た。 時間は午前6時。 日曜日の朝ぐらいゆっくり寝かせてくれよ…。 そう思って布団の中に潜った。 ブー! ブー! ブー! しつこいな…誰だよ? 電話を見た。 ついちゃん? なんだこの時間に? ガチャ、もし… 「早く出て!!」 びくっ! な、なんだよ、急に大きい声出して。 「ご、ごめん。 でもどうしたの、こんな時間に?」 「声が聞きたくて…」 ドキッ。 そんな事を言われたのは、今まで初めてだった。 「そっ、そっか! それなら全然いいけど。 こんな時間だったから少しびっくりしてさ」 「でも何回も鳴らしたんだよ? ブーって何回鳴った? 覚えてる?」 覚えてるって、そんなの覚えてるわけない。 「いやーさすがそこまでは…」 「なんで? なんで? なんで? わかった。 じゃあ次は10回鳴るまでには出てね? じゃないと…おしおきしちゃうよ♪ 」 「お、おしおきって何?」 なんかドキドキしてしまった。 おしおきをされるという事は、ついちゃんに会えると思ったから。 「それは内緒でーす♪ ふふふっ」 この前といい、今日といい、違和感があった。 でもそんな違和感より、ついちゃんに会いたい気持ちのほうが強かった。 今思えば、もうこの時点で引き返せない所まで来ていたのかもしれない…。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加