第6話 偶然

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第6話 偶然

あれからまた一週間経った。 あの電話以来、ついちゃんからの電話は、仕事中に鳴ることはなかった。 そして仕事が終わるとすぐに電話が鳴る。 平日はいつもそんな感じで電話が鳴った。 日曜日は所構わず、電話が鳴る。 この前の早朝だったり、深夜だったり色々だ。 でも土曜日だけは電話が鳴らない。 なので、俺からも電話をしないようにしていた。 これがついちゃんのパターン。 あの一件以来は、なんの違和感もなく過ごしていた。 そしてある平日の仕事終わり。 お疲れ様でしたー。 仕事を終え、更衣室に来た。 ロッカーを開けようとしたその時、電話がなった。 ブー! ブー! ブー! ついちゃんだな? 決まってこの時間だなー。 電話を取ろうとした時、更衣室に先輩が入ってきた。 「おまえ、仕事道具出しっぱだぞ。帰る時直しとけよ!」 「はい! すみません!!」 先輩が出ていた。 っと、電話取らないと。 「もしもし? ついちゃん? もしもーし?」 んっ? 喋らない。 ついちゃんだよなー? そう思って携帯を耳から離して、画面を見た。 ついちゃん 通話時間0:12。 ぷつ。ツーツーツー。 切れた…電波悪かったのか? とりあえず着替えて家帰るか。 そう思い着替えて仕事場を出ようと、扉を開けた。 ガシャーン! な、なんだ!? いてっ…何かが割れた衝撃で、破片が顔に飛んできた。 何が落ちて来たんだ? …植木鉢だ。 上を見たらベランダに植木を置いてる所があった。 落ちる場所に置くなよ、危ないな…そして、気付いたら顔から血が出ていた。 結構切れてるのか? ブー! ブー! ブー! うぉ、びっくりした。 このタイミングで鳴るなよ。 「はい、もしもし?」 「12回…鳴ったね…着信音?」 「何が? 何の話しだよ?」 「10回なるまでに取るって約束だよね? ふふふ…おしおきだねー?」 「な、なんで12回鳴ったってわかるんだよ?」 そうだ、なんでわかるんだ。 わかるわけない。 「電話してからの時間でわかるよ。 簡単な事だよー。だからかずくーん? 次は8回までには取ってね?」 えっ? ツーツーツー。 そう言われて電話は切れた。
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