プロローグ

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プロローグ

 円卓の大地、リアンジュナイル大陸。広大なその大地を治める連合国に属する国家がひとつ、赤の王国、グランデル王国では、ひと月後に控えている国王の生誕祭に向けての準備が進められていた。グランデルにおいて、国王は太陽そのものだ。かの王が玉座に君臨しているからこそ、民は平和な日常を過ごすことができ、かの王が行く先を明るく照らし出してくれるからこそ、民は歩みを進めることができる。故に、その王の生誕祭ともあれば、全ての国民にとっての喜びの場であり幸福の場であった。逆を言えばそれは、生誕祭は滞りなく成功しなければいけない行事だと言うことになる。  グランデル王国国王の従兄弟にして、右腕と呼ばれる若き宰相、レクシリア・グラ・ロンター公爵は、祭事の準備のためにと慌ただしく城内を行き交う臣下を眺めながら、酷く重々しい息を吐き出した。  現国王の時代が始まって、早八年。王の即位当時は荒れに荒れていた国政も、当代の王の手腕により僅か三年で落ち着きを取り戻し、以降は穏やかな日々が続いている。恐らくは、それがそもそもの原因だったのだろう。 「例の件、未だに解決していないのですか?」     
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