パンとティーとスクランブルエッグ

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 ぼくは、はったつしょうがいじ。 キーってなると、じぶんが わからなくなる。 あばれたくなって、あばれて、とまらない。 おにいちゃんを たたく。ける。なかす。 とうとう、おとうさんに えりくびをつかまれた。 「おまえ、にいちゃんより つよいきになってんじゃねぇぞ。 どうして まいかい おまえが にいちゃんに かててるのか、わかってんのか。 にいちゃんはな、ぜったいに おまえには てをださないからだ。 おまえに けがをさせてしまわないようにな」 「ぼくはもう、ぼうりょくは やめようとおもう。 もしかしたら、またキーってなっちゃうかもしれないけど、 こんどは おにいちゃんじゃなくて、じぶんを たたくことにする」 なきながら いったら、おとうさんが えりくびをはなしてくれた。 おとうさんも ないてた。 むこうの へやで、おにいちゃんも ないてるのが きこえた。 ずずずーーー。 って、はなをすすってから、おにいちゃんが いつものやさしいこえで いった。 「あさごはん、つくるね。 パンとティーとスクランブルエッグ」 にちようびのたびに、しんだ おかあさんが つくってくれたメニューだ。  パンは6まいぎりの しょくパンをトースターで やいたもの。 ぼくと おにいちゃんが1まいずつで、 おかあさんが1まいはん。 おとうさんが2まいはん。 ティーはポットに はっぱを いれてつくった こうちゃ。 おかあさんは、こうちゃのことをティーって いってた。 「おかあさんは おじょうさまだったから」 って、おとうさんが いってた。 スクランブルエッグは、あまくて、ケチャップをかけてくれた。 おかあさんが、こうつうじこに まきこまれて、しんじゃってからは、 にちようびに パンとティーとスクランブルエッグをつくってくれる ひとがいなくなった。
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