124人が本棚に入れています
本棚に追加
71
耳を軽く嵌れ、宗佑は小さく吐息を零す。
久しぶりの村田の愛撫に、体中が粟立つ。
村田は宗佑のスーツの上着を脱がすと、曲がったネクタイに指を入れ解いていく。
「ネクタイの締め方‥‥‥今度、教えますね」
村田が、宗佑の耳元で優しく囁く。
宗佑は恥ずかしさで頬を染め、村田と離れなくても良いのかと安堵と同時に、愛おしさが増す。
村田の長い指が、ワイシャツのボタンに触れる。
宗佑はハッとし、甘い気分が一気に萎み込む。この体にはまだ、渉の残した独占欲の印が残っている。
村田はどう思うだろうか。こんな穢された体を見て、嫌気がさすのではないだろうか。
宗佑の複雑な表情に気づいた村田が手を止め「嫌ですか?」と不安げに声をかける。
「嫌じゃないんです‥‥‥でも‥‥‥」
宗佑は首筋に手をやり、ほんのり色付いている印に触れる。
村田は一瞬複雑な目をしたが、一つ溜息を零す。
「確かに嫉妬はします。でも、これから塗り替えていけば良いじゃないですか」
村田が宗佑の腕を掴み、首筋に舌を這わせ赤い印を上書きするように強く吸う。
「‥‥‥んっ」
チクっとした痛みが、首筋から痺れるように伝わってくる。
村田が顔を上げると、宗佑の唇を塞ぎゆっくりと舌で唇を割って入る。
最初のコメントを投稿しよう!