境界線の恋心

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 お嬢様の体調が悪化し、私は事業の手伝いの時以外は付きっ切りで看病することになった。  旦那様も取り乱し、事業の方が再び疎かとなり私の負担も増えてしまった。  そういった経緯もあり、宗佑とも会えないまま一年間、慌ただしい日々を送る。  旦那様は、自分が今までしてきたツケが回ってきたのだと深く落ち込んでいた。  私も同じように罪悪感があったことで、かける言葉が見つからず、ただ黙って事業の手伝いをすることしか出来ない。  旦那様は度々、お嬢様の枕元で手を握り「お前の望みを叶えてやる」と涙を流していた。  私はその言葉に嫌な予感を感じざるを得ず、どうすることも出来ない状態を歯痒く思っていた。  お嬢様が亡くなり、旦那様は失意のどん底に落ちたようになる。  ついに私に、宗佑とお嬢様を結婚させると言い出した。  もちろん反対はしたが、聞き入れてもらえず着々と進んでいってしまう。  私は絶望し、一瞬この村から出て行こうと考えた。  もう、自分は恩返しを済ませてしまった。奥様もお嬢様もいない今は、自分にとってここにいる意味がなくなってしまったのだ。
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