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そんな考えを見抜かれたのか、旦那様は私に宗佑の世話役をやってほしいと言ってきた。
私は再び顔を合わせることが出来る喜びと、触れることのできないもどかしさに途方に暮れた。
一年ぶりに再開した宗佑は、顔色こそ青ざめてはいるものの、変わらぬ姿に目を奪われる。
それでも旦那様の手前、勘付かれないように心を律して宗佑を突き放す。
それなのに‥‥‥宗佑は涙を流して私に縋り付いてきた。
そこで、今まで自分は宗佑の気持ちを置き去りにして自己中心的に動いてきた事に気付かされた。
ふと、お嬢様が「宗佑は人の意見に流されすぎちゃうところがあるから、私が手綱を握らないと」と言っていたのを思い出す。
今回の件もきっと周囲の為にと、自分を犠牲にして決めたことだろう。
それなのに、私まで宗佑を見放してしまったら彼は行き場を無くしてしまうだろう。
本当ならば宗佑を連れて、この土地を離れ、駆け落ちすべきだろうかと考えた。
給料の使い道がなかった為、それなりの貯金はある。二人で食べていくには困らないだろう。
しかし、宗佑の事だからそんな事をしては、自分の両親に迷惑をかけると賛成しそうにない。
お嬢様の旦那様と使用人としての立場を保ちながら、宗佑を見守っていこうと私は苦渋の決断をした。
こうなる運命だと分かっていて、自ら突き進んでしまった自分を罰する為にも。
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