夜中のメール

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クライアントからの評価は単にデザインだけじゃない。 そこで早い対応が出来るか否かがクライアントへの印象を大きく左右する。 「できるだけ早く戻ってくるから、それまでに返信来たらチェックお願い」 「わかった」 「じゃあ」と、出入り口に向かって歩き出しながらふいに眞辺を振り返る。 「ねえ、橋爪くんから聞いたんだけど、あのソファ、ベッドになるんでしょ? 何で教えてくれなかったの?」 眞辺は視線を上げ、しばらく私を見つめてため息をついた。 「橋爪の奴、余計なことを。……俺が独占するために決まってるだろ」 眞辺は目を逸らし、頬杖を付きながらモニターへ目をやった。 「……やっぱりね。ふーんだ、これから私も使うからね」 私は眞辺を軽く睨むと「じゃ」と、バッグの紐を肩に掛け直し事務所を出た。
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