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「勘弁してくれって何が? 何? どうしたの? 上手くいってないの?」
私がパーテーションの陰から飛び出すと、眞辺は慌ててスマホを耳から離した。
「あ、ごめん、電話中……」
口元を抑えて一歩下がると眞辺はスマホの画面をデスクに伏せた。
「何だ……お前かよ」
「お前で悪かったわね。で? 何かマズイ? 大丈夫?」
彼は私を見たがすぐにいつもの無表情に戻って顔をモニターに向けた。
「何かあったの?」
彼が私の問いに答えないのでもう一度訪ねると
「何にもねーよ」と、素っ気ない返事が返ってきた。
「もしかして、あの後また何か修正入ったの?」
「そんなことねぇよ。思うように進んでねぇだけ」
「確かに疲れてるとは思うけど……大丈夫? 間に合う?」
私は気が気でなかった。
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