夜中のメール

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「何か他に欲しいものある? あれば買ってくるよ? ビール以外」 眞辺は酔うとすぐに眠くなるタイプの人間だ。 飲ませるわけにはいかない。 ほうじ茶を淹れる準備をしながら彼に背を向けたまま声を掛けた。 「欲しいものねぇ」 「うん、何かある?」 「そうだなぁ……」 眞辺の考え込む様子に耳を澄ますと、彼が言った。 「人肌」 「……人肌?」 お茶の葉を急須に移していたところで振り返り、カウンターの上にお茶の葉がこぼれた。 「……悪いけど、それは買って来られないから」 声だけの眞辺を薄っすら睨み、こぼれたお茶の葉を片付けてお茶を入れ始めた。 すると、眞辺の声が聞こえてくる。 「お前はさ、欲しくなんねえの?」
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