夜中のメール

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ふざけた口調で言いながら、納期が迫っている別の案件の資料をデスクの上に広げた。 「知らねぇぞ」 脅迫めいた言葉を口にするが彼の手元はきっと今もデザインを生み出している。 「私、仕事の上では眞辺のこと、尊敬してるから」 すると、沈黙の中、妙な間が開いた。 「……へえ、そりゃ初耳だな」 ……あ、つい、 口から出てしまった。 そして、再び間が生まれる。 小さな間はそのまま延長して静けさに変わり、二人の間を埋めながら消えてなくなり、 私たちは何事もなかったかのようにそれぞれの仕事に集中し始めた。
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