一日の終わりと始まりの予感

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早朝の空気は少しだけ秋に近付いているらしく心地よかった。 朝日を浴びれば身体は目覚めるというが、徹夜明けでは難しい。 あくびをすると、目尻に滲む涙が視界をぼかし、秋晴れの空が朝日で輝いて見える。 淡いブルー。 徹夜明けでもこんな空が見られるとそんなわけないのに 少しだけ得をした気になる。 私はスマホを取り出し空を撮影した。 「眞辺にもおすそ分け」 私はその画像を朝日を浴びることのない眞辺に送信した。 二人の間では文章のない写真のやり取りも多かった。 目に留まったデザインや面白い形のオブジェなど情報の共有という意味合いもあるのかもしれないが、どちらともなく始まり、随分長いこと続いていた。 特に私は綺麗な色を見ると眞辺に見せたくなる。 もっとも、自然界の色はそのままを映像に残すことは難しいけれど、それでもそんな色を見るとシャッターを切らずにはいられなかった。
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